【米国経済】OPECは減産合意・ISMは依然堅調
2022/10/5の米国市場が閉まりました。
いくつか経済指標の発表がありましたので、考察して行きます。
【目次】
OPEC会議
初めにOPEC会議についての詳細、注目点についてはこちらの記事をご参照ください。
昨日の会合では、日量200万バレルの減産で合意されました。これは、世界的な景気鈍化によって引き起こされた原油価格の下落に歯止めをかけることを目指すもので、原油の価格を90ドル前後でキープしたいと言う目論見があるようです。
現在のWTI原油先物価格は一時、$77をつける場面がありましたが、現在は大幅減産が合意されたことにより、90ドル付近まで上昇してきています。
OPECは90ドル前後の価格を望んでいる」と、ナイジェリアのシルバ石油資源相はOPECプラスの閣僚会合後に発言。その水準を下回ると、「一部の国が不安定化する」と語りました。
この減産合意に対して、米国のバイデン米大統領はOPECプラスが決定した日量200万バレルの減産計画について「不必要」だと主張。米政府当局者は石油備蓄からの追加放出があり得るとの認識を示しました。
OPECプラス、日量200万バレル減産で合意-米大統領「不要」 - Bloomberg
上記のように日量200万バレルの減産が合意されたことで、原油価格の下落は80-90ドル付近で底固めをする可能性があります。これはインフレ抑制の観点からはマイナス材料。原油価格も87ドル付近まで上昇しました。
ADP非農業部門雇用者数
初めにADP非農業部門雇用者数についての詳細、注目点についてはこちらの記事をご参照ください。
昨日の結果は以下の通りです。
予想20万人の増加予想に対して、20.8万人の増加と概ね予想通りの結果となりました。過去の雇用者数と比較すると徐々に、雇用者数は減少してきていますが、依然と雇用者数は伸びており、労働市場が堅調であることを示唆しています。
米ADP民間雇用者数、9月は20.8万人増-健全な労働需要示す - Bloomberg
上記より、労働市場は依然としてタイトであり、賃金インフレの改善にはもう少し時間がかかりそうですね。
ISM非製造業景況指数
初めにISM非製造業景況指数についての詳細、注目点についてはこちらの記事をご参照ください。昨日の結果は以下の通りです。
予想56.0に対して、結果は56.7と予想を上回り、景気の底堅さを見せました。米供給管理協会(ISM)が発表した9月の非製造業総合景況指数は前月から若干低下したものの、堅調な水準を維持しました。業況と受注が底堅く推移した一方、仕入れ価格の指数は2021年1月以来の低水準です。
雇用指数は前月の50.2から53に上昇し、賃金上昇とインフレ高進に寄与してきたタイトな労働環境の緩和傾向を示しました。
仕入れ価格指数は前月の71.5から68.7に低下し、コスト圧力の緩和が続いています。
受注残は4カ月ぶり低水準となり、サプライチェーンの正常化継続を示唆しています。在庫指数は昨年10月以来の低水準と、サービス業が在庫削減を進めている状況が示されました。
米ISM非製造業景況指数、堅調な水準を維持-価格圧力が緩和 - Bloomberg
上記より、依然労働市場は底堅く推移しているが、雇用、仕入れ、受注残共に改善傾向にあることから、徐々に過熱感が取り払われていくことが予想されます。強すぎる景況感は株価にマイナスですが、改善傾向にあるため、今後もこの傾向を持続できるかに注目です。
米国債金利
米国の国債利回りは以下の通りです。依然として、2年債と10年債は逆イールド状態です。3ヶ月債はまだ逆イールドにはなっていませんので、景気後退はまだ先になりそうです。
10年債利回りについては以下のように、昨日は3.6%前後から、ADP雇用統計の上振れをきっかけに一気に上昇しました。
金利は先日の高値付近まで上昇しました。こちらは下落トレンドが継続中ですが、先日の高値である3.8%を上抜けすると再び4%を目指す展開となりますので、注視する必要があります。
現状は、下落トレンドが継続中なので、今週末の雇用統計を睨む展開となりそうです。昨日のADP雇用統計や、ISM非製造業景況指数が予想以上に上振れましたが、労働市場のタイト化や、サプライチェーンの混乱、仕入れ値の下落が改善傾向にあることが読み取れているので、引き続き指数は買いの好機であると、考察しています。
まとめ
昨日の経済指標についてのまとめは以下の通りです。
OPEC会議
減産合意により、WTI原油価格は90ドルがターゲットとなり高止まりが予想されます。株価にはマイナスです。
ADP非農業部門雇用者数
概ね予想に一致しており、労働市場は堅調です。依然として労働市場はタイトであり、賃金インフレの継続が予想されますが、雇用者の増加ペースは鈍化しています。
ISM非製造業景況指数
予想を上回り、景況感は依然として堅調です。しかし、雇用逼迫の緩和、仕入れ値の下落、受注残の減少などから、状況は改善傾向にあります。
上記より、原油価格の高止まりは懸念されますが、労働市場のタイト化、サプライチェーンの問題、仕入れ値の高騰などの問題は改善傾向にあります。引き続き経済状況をウォッチして行きましょう。