【米国株】インフレを心配しなくて良い理由6選
皆さん、こんにちは!ひこぐまです。今日は、「インフレを心配しなくて良い理由6選」といった内容でお届けしたいと思います。
現在のインフレ率のおさらい
ここでは、米国消費者物価指数(CPI)のことを、インフレ率として話を進めていきます。まず、2022年年初からの前年比、前月比のインフレ率を確認してきましょう。
10月のCPI総合のインフレ率は7.7%と予想を大きく下回って下落傾向が鮮明になりました。今月は、先月の前月比0.4%を下回る、0.3%が予想されており、6月までの1%前後のインフレ率はかげを潜めています。
ここまでインフレ率が下落してきた背景には、ほぼ全ての項目でインフレ率が下落してきていることが要因として挙げられます。まずは、CPIの構成要素を見てみましょう。
CPI構成比率
CPIの構成比率はざっくりこんな感じになっていて、消費財、サービスの大きく分類されたのちに、詳細項目に分けられます。
この図の中で一際目立っているのが住居費だと思います。これは全体の1/3を占める巨大な項目なのですが、住居費に関しては、上昇し続けているのです。
理由①:CPIの住居費は遅効指標だから
住居費に関しては、以下の図のように、4月から0.5%以上の伸びを継続していて、先月はついに4月以来最高の0.8%を記録しています。なぜこんなにも住居費のインフレは止まらないのでしょうか。
これは、住居費のインフレ率がCPIのデータに反映されるまでにタイムラグがあるために、なかなか指標に乗ってこないというジレンマがあります。実際に先行指標である、ケースシラー住宅価格指数は下落してきていますが、過去のデータを見ると、CPIのShelter項目に反映されるのはおよそ1年ほどかかるようです。
赤線が、CPIの住宅費(Shelter)項目の前年比インフレ率で、青線がケースシラー住宅指数の前年比インフレ率です。2006年にケースシラー住宅価格指数が下落しはじめてから、CPIが反応しはじめたのが2007年ごろでした。また、2009年ごろにケースシラー住宅価格指数が底打ちしてから、CPIの住居費が反応したのは2010年でした。
これは、住宅費の大半を占める帰属家賃の計算方法が、過去6ヶ月の平均上昇率を取ることや、賃貸の契約更新の周期が半年から1年と言われているため、反映には非常に時間がかかると言われています。
理由②:アパートメント価格は大幅に下落している
しかし、足元の住宅価格について先行指標を眺めていても、住宅価格はアパートメント、中古・新築、ケースシラー住宅価格指数、どれを確認しても大幅に下落しているため、住居費インフレはすでに終焉している可能性が高いです。
図 米国アパートメント価格インフレ率前月比
(出典:https://www.apartmentlist.com/research/national-rent-data)
図 米国アパートメント価格インフレ率年初来
(出典:https://www.apartmentlist.com/research/national-rent-data)
理由③:中古住宅価格の中央値は大幅に下落している
図 中古住宅販売価格の中央値
理由④:ケースシラー住宅価格指数は下落し始めている
図 ケースシラー住宅価格指数
この住居費がコアCPIを強く押し上げているわけです。コアになると食品とエネルギーがのぞかれるので、住居費の寄与率は40%に押し上げられます。それにも関わらず、前月比のコアCPIが0.3%しか上昇していないということは、住居費以外のインフレは大きく下落していることが考えられます。
図 コアCPIの前年・前月比のインフレ率(青:前年、緑:前月)
ここまで住居費が、インフレ率を押し上げしており、その影響はケースシラー住宅価格指数の1年後に指標に現れるということをお話してきました。ケースシラー住宅価格指数が2022/6に鈍化し始めたことを考えると、CPIへの反映は2023年6月頃になることが予想されます。
理由⑤:住居費以外のインフレは既にピークアウトしている
では、住居費以外のインフレはどうかについて検討してみましょう。住居費以外のインフレ率はこちらを参照してください。
結果をまとめると、住居費以外の項目は概ね縮小傾向、または、縮小している状況にあり、今月はエネルギー価格も下落していることから、CPIが再び上昇トレンドに乗って上がっていくということは考えにくいです。
理由⑥:米国の景気後退は指標・決算に表れている
今は、年末商戦の真っ只中で、米国民は必需品の支出を削って、再びコロナパンデミックに入る前の旅行を楽しんでいるというニュースも出ています。
ガソリン価格も下落していますし、生活必需品の売れ行きも良くない、アパレルは在庫がたまり、小売業は雇用を削減しています。それだけ、米国の景気は減速しており、債券市場はこれを織り込みにかかっています。
図 20年債券(TLT)の年初来チャート
今は、インフレを心配するフェーズではなく、景気後退に備えるフェーズです。景気後退に強い銘柄を選択して、景気後退の波に乗りましょう。
具体的な銘柄については、こちらで解説しています。
景気後退時の立ち回りについては、こちらをご参照ください。
終わりに
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